『バジーノイズ』むつき潤

4巻を読み終えたとき、ひょっとしたら次の巻で完結するんじゃないかと思ったら、予想があたった。
たしかに、物語としてみた場合、4巻での主人公の陥った状況と主人公を取り巻く環境や人々の配置としてはそこから主人公がどのような結論を見出して、そして進んでいくかが次の巻の流れで、そしてそこまで到達してしまえば物語としては一区切りつくのだ。
『バジーノイズ』という物語が、今までの音楽漫画と異なった点はいろいろとあるけれども、一番は主人公の造形で、音楽を作りたい、音楽をやりたいという衝動の根源的な部分が、ただ自分にとって心地よい音を聞きたいというだけだという部分にある。
だから誰かに聞いてもらいたいとか有名になりたいとかそういった方向へとは向かわない。
そしてその過程で仲間ができ、そしてふたたび仲間から離れて一人ぼっちになったあと、主人公がどうするのか、そこを描いてしまえばこの物語は完結する。
これ以上の物語は蛇足以外のなにものでもなく、ものすごくきれいに終わったのだが、問題は主人公のほうではなく作者のほうだ。
次の作品はどんなものを描いてくれるのだろうか。

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