私はかつて、実の弟を誘拐した
タイトルからして不穏な内容を予感させるタイトルだが、その内容のほうも冒頭からこの一文である。
不幸な終わり方しかイメージできなくて、そもそもそんな後味の悪そうな漫画をわざわざ読む必要があるのかといえば、たまにその手の話を読みたくなる。
それは人の不幸を覗き見してみたいという気持ちよりも、そんな状況になってしまった人たちのあがなう姿を見たいという気持ちで、じゃあ余計たちが悪いじゃないかといえはそうかもしれないが、苦しんでいる姿を楽しむわけではなく、どちらかといえば寄り添うという気持ちだ。
主人公はかつて自分の弟を誘拐する。そして交通事故を起こしてしまい弟に怪我を負わせてしまううえに、そのことが引き金となって主人公一家はバラバラになってしまう。
それから十年近い年月が経ち、主人公は植物園で働きながら一人で生活をしている。誰とも仲良くせず、ただただ日々生きている。それは贖罪であり、自分は幸せになってはいけないという自らを罰しているのだ。
そんなあるとき、弟が彼女のもとに現れる。弟は事故の前後の記憶は失っているが、姉が弟のことを愛していたと同時に弟も姉のことを愛していたのだ。
再び禁断の愛が始まろうとしてしまう一触即発状態なのだが、はたして二人に幸せは訪れるのであろうか。
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