『ソフトウェア』ルーディ・ラッカー

しばらく積読のままにしていたスラデックの『ロデリック』を読み終えて、過去にはベイリーの『ロボットの魂』と『光のロボット』も読んでいたとなると、三大ロボット長編SFの残りの一冊、ルーディ・ラッカーの『ソフトウェア』も読まないといけない。
ということで、古書を探して読んでみた。
文庫にして280ページ程度、『ロデリック』に比べると遥かに薄いし、読みやすい。
さすがに、今、読むとアイデアそのもののインパクトや過激さの衝撃度は少なくなっているけれども、高齢化社会が進んで、社会福祉が破綻してしまったアメリカという設定は、今まさに日本もこの道を一直線に進んでいるという事を考えると、古臭いなんて言ってられない話でもある。
主人公のうちの一人は元サイバネティクス学者の老人。アシモフが提唱したロボット工学三原則を守ってロボット開発しなければいけないところに、ロボットを進化させたいという欲望から、人間に奉仕するという部分を削り取ってしまい、さらには適者生存の法則でもって、進化させる仕組みを組み込んでしまう。結果、ロボットたちは人間に反旗を翻し、月を占拠してしまう。
ある時、主人公のもとに、ロボットがやってきて、恩返しに意味で、不死の肉体を与えたいと言ってくる。もう死ぬのを待つばかりの老人となった主人公は願ったり叶ったりでついていくけれども、ロボット達が与えてくれたのは機械の身体で、要するに人間の脳をスキャンして、そして切り刻んですりつぶして記憶を取り出し、その取り出した記憶を情報化して機械の体にコピーするということだった。
もちろん単純に事が進むわけでもなくって、ロボットの間にも対立関係があって、その対立に巻き込まれていくのだが、自由意志の問題とかにも触れながらも、その扱いは軽く、軽く扱われているがゆえに逆に、ちょっとこれは真剣に考えなければいけないのではないだろうか、というふうに思ってしまう。

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