『売野機子のハート・ビート』売野機子

新刊が出るたびに気になる作家がいる。
で、気になるので買って読む。
問題はそこからで、読んでみるとどうもピンと来ない。
読む前に気になった、要するに、自分にとって面白いだろうという期待感にそうだけの満足感を得ることができないのである。
ではつまらないのかといえばそうでもない。
普通ならばそういう場合は次の新作が出ても、この作家は自分には合わない作家なのだということで素通りするはず、いや普通の人であればそうするはずなのだが、素通りすることができないのである。
そういう作家に対して僕は片思いの作家というふうに呼んでいる。
気になるのでアタックをかけるのだが、つれなくされてしまうわけである。
売野機子は僕にとって片思いの漫画家だ。
音楽をテーマとした四つの短編。それだけでもちょっとわくわくさせられる。絵柄も嫌いではない。でも読んでみると何かが違う。
たぶん、それは売野機子が24年組の再来と呼ばれているその作風にあるのかもしれない。
萩尾望都や竹宮惠子、大島弓子といった「花の24年組」の漫画に触れてこなかった僕にとって、売野機子の世界はとてつもなく遠い世界であり僕のアプローチなど見向きもされないのかもしれない。
でも、新作が出るたびに僕は彼女の描く世界に対して片思いをし続けるのだろう。

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