『狂気の科学者たち』アレックス・バーザ

最初は買うつもりはなかったけれど、書店でなにげなく手にとってパラパラとめくったら魂の重さを計る実験をしたマクドゥーガル博士のことが載っていたのでちょっと興味がでて買うことにした。
以前にマクドゥーガル博士の実験を元にした短編を書いたことがあったので、ひょっとしたら今後の小説のネタに使えそうな話題があるんじゃないかと思ったのだ。パラパラとめくっただけでも興味深い話題が目に入ってくる。
と興味半分で読み始めたのはいいのだが、タイトルにもあるように狂気という言葉が似合う実験が目白押しで、うーん、そこまでするのかと驚くやら感心するやら恐ろしさを感じるやら。
もちろんそれは今の感覚で考えるからそう思う部分もあって、まだ科学の発達していなかった時代だったらそれほど恐ろしさを感じなかったのかもしれない。
とはいえども、黄熱病が感染によるものではないことを確かめるために黄熱病患者の吐瀉物を食べて確かめるとい実験をした人間がいたという内容を読むと、実験者本人が食べて確かめたとはいえ、自分自身に身を使って実験するというのは自分には到底真似できないことなので、恐れ入るばかりだ。実際には黄熱病は蚊を媒体とした伝染病だったので、黄熱病患者の吐瀉物を食べれば感染してしまうリスクは高く、彼が感染しなかったのは単に運が良かっただけという身も蓋もない結論だったが、これって、笑い話ですむ話ではなく、実験のデータ数が少なければこういうことは起こりうるわけだ。世の中を見渡すと、僅かな実験結果だけで効果があると言ってしまっている事柄というのは割と多い。
で、小説のネタは拾えたのかというと、当初思っていたほどは見つからなかったのだが、それでもいくつか面白そうなネタがあった。もちろんそれで小説を書くことができるかといえばそれはまた別の問題なんだけれども。

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