『密葬 -わたしを離さないで』江波光則

  • 著: 江波 光則
  • 販売元/出版社: 小学館
  • 発売日: 2013/9/18

Amazon

前作が『鳥葬』で今回は『密葬』。
とくると、前作と同傾向の物語になると思うのは当たり前のことで、では今回は前回とどんな違いの物語を見せてくれるのだろうかと期待していたらいい方向で裏切られた。
なんとまあ、今回は前作の直接の続編だったのだ。というわけで、前作の『鳥葬 まだ人間じゃない』を読んだ後でないと後悔することになるのだが、あの話の後を一体どうやって物語るのだろうかという点においては期待と不安があった。
しかし、不安に関しては全くの杞憂で、拡散していく「鳥葬」に対して、限られた人達によって密かに行われる「密葬」、そして「わたしを離さないで」というサブタイトルといい、単なる続編という位置づけではなく、対となる位置づけの物語になっていた。
青春暗黒群像劇という位置づけでありながら、ラストは意外にも救いのあるラストで、こんなにきれいな終わり方にしてしまって良いのかという気持ちもあるのだが、これまたちゃっかりと成長譚にもなっているので、これはこれでいいのだよなあ、と思わざるをえない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました