復刊された時にあらすじをみて、面白そうだなと思い買ったものの、いつものごとく積読にしていた。積読本も消化しないといけないなとおもい、ようやく重い腰を上げて読み始めたのだが、これがどうして、遅々として先にすすまない。
決してつまらないわけではないのだが、なにしろ登場人物が多く、最初のページの方で、これでもかというくらいにたくさんの人物が登場してくる。
ハヤカワ・ミステリなので冒頭に登場人物一覧が載っているのだが、それを見る限りではそんなに登場人物は多くはないのだが、これはあくまで主要登場人物であり、事件に関係しそうな人の一覧である。
それなのにこの物語、あきらかに事件に関係しない人物でも名前が付いて登場するのだ。
紙の本ならば気になった人物が登場した時に登場人物一覧をすぐさま確認して読み進めるということができるのだが、あいにくと電子書籍である。電子書籍の最大の難点は、任意のページを見ることがすぐにできないことだ。kindleの場合、画面の上部をタップしてそして右上のしおりの部分をタップして、あらかじめブックマークしておいた登場人物一覧のしおりをタップすることでようやく登場人物一覧を見ることができるのだが、そんな手間をかけると読書のペースが乱され読むスピードも遅くなってしまう。もちろん記憶力さえよければそんなことをしなくてもいいので、自分の老化が原因だといえばそうなのだが、それにしてもこの本は登場人物が多すぎる。なにしろ主人公には11人の兄がいるという設定なのだ。もちろんさすがに11人全員が登場するわけでもないのだが、ちょっと多すぎやしないか。
まあそれはさておき、十数年前に起こった殺人事件の犯人を探してほしいと依頼された主人公の物語そのものは面白い。一通りの登場人物が出揃ってしまえば後はなんとかなるのである。
舞台はアメリカ南部。事件が起こった時代はまだ黒人差別の残っていた時代でもあるが、それから十数年後はどうなったのかといえばまだそういった差別は残っている。そして作者は黒人差別だけではなく男女の差別やLGBTに対する差別というか物語の主軸のなかにそういったマイノリティに対しての社会、そして人々の差別的な感情を入れ込んで描いていく。
差別する側、される側、ともにどちらが悪いという二元論ではなく、差別的感情をもってしまった、あるいは社会に受け入れられていないという感情をもってしまった、あるいはもたされてしまったために起こってしまった悲しい事件なのである。
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