『パーク・アベニューの孤独』山川健一

『壜の中のメッセージ』に続く青春四部作の二作目。
前作とは主人公は異なるのだが、前作での主人公は最後にニューヨークに行こうとしている。
そして今作は舞台はニューヨーク。主人公こそ違うが、精神的なレベルでは同一人物でもある。
タイトルは『パーク・アベニューの孤独』
暗い題名といえばそうなんだけれども、こういう話は好きだ。
主人公はニューヨークで観光客相手のガイドのようなものをしている日本人。
覚せい剤中毒だったことがあり、フラッシュバックに苦しんでいて、カウンセリングを受けている。
夢と希望を持ってニューヨークに来たけれども、夢は夢のまま、希望は少しづつ削り取られて、今はほんの僅かしか残っていない。
まわりはきらびやかに輝く世界であるのに、それ故に、主人公は孤独だ。社会との関わりは最小限で、多分、それは社会とのかかわり合いの中に自分を見出そうとしているのではなく、自分の中に自分を見出そうとしているからなのだと思う。
しかしそんな中でここではないどこかを探すわけではなく、あくまでこの場所で生きようとする。
やはり僕は前作『壜の中のメッセージ』とこの本からかなりの影響を受けていたのだど思う。

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