長いこと積読状態だったけれどもようやく読み終えた。というか積読状態の本は倉庫のどこかに入り込んでしまっていて見つけることが不可能だったので電子書籍で買ってしまったわけだが。
そんなにも積読にしてしまっていたのはこの本が面白くなさそうだったからではなくその逆だ。僕の変な癖で、期待しすぎると読めなくなってしまうのだ。
何しろこの本は大原まり子がヴァン・ヴォークトの『武器製造業者』と『イシャーの武器店』の武器店シリーズをモチーフにしたワイドスクリーン・バロックという触れ込みだからだ。
僕の好きなヴァン・ヴォークトをモチーフにしてしかもワイドスクリーン・バロックである。期待するなというほうがおかしい。
といってもいつまでも期待したまま積読にしておくのもあまりよろしくないわけで、意を決して読むことにした。
……のだが読み始めてみるとなんだか少し変だ。『武器製造業者』っぽいものは登場するし、説明なしにとんでもない世界が描かれていくという様はワイドスクリーン・バロックっぽさもあるけれども、やっぱりなにか違う。
つまるところはヴァン・ヴォークトじゃなくってあくまで大原まり子の世界なのだ。もちろん大原まり子の世界が嫌いというわけじゃあない。
なんだけれども、これが大原まり子なのかというとちょっと違う、というか大原まり子の全力じゃあない感じがする。
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