J・P・ホーガンの小説を星野之宣がコミック化したのに乗じてというわけでもなさそうなのだが、いきなりアイザック・アシモフの『銀河帝国興亡史』がコミック化された。
『銀河帝国興亡史』といえば、なんといっても心理歴史学で、個人の行動は予測できなくても集団としての行動は予測可能であるという、今でいうと、ビッグデータを使ってみんながやろうとしていることと同じようなことであり、それを1940年代にすでに考えていたアイザック・アシモフは凄いよなあと思うし、だからこそ、初めて『銀河帝国興亡史』を読んだ時に心理歴史学って概念にワクワクしたものだった。同時にビックデータってのがなんでもできる魔法の道具ってわけでもないこともよく分かる。
そんなわけで、見知らぬ出版社の見知らぬ漫画家によるコミック化ということで不安もあったけれども、表紙の絵を見る限りではそれほど悪くはなさそうだし、騙されたと思って一巻だけ買ってみてもいいかというつもりで買ってみた。
で、読んでみると、そんなに悪くはない。
『銀河帝国興亡史』を読んだのはもう30年くらい前のことなので細かな内容など忘れてしまっていたのだけれども、ネットで大雑把に内容を復習してみた範囲では、原作に忠実で、極端なアレンジはされていない。ということは派手なアクションシーンがあるわけでもなくビジュアル的には地味ということになるのだが、地味になりがちな絵でありながらも面白さはそのままだ。
一巻では第三部までがコミック化されているので、原作の一巻目の半ば過ぎといったところ。無理して全部をコミック化していないところがいいのだが、はたして続きが順調に出るのかどうかがちょっと不安なところでもある。
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