『妻、小学生になる。』村田椰融

夭折した小路啓之の未完の漫画に『10歳かあさん』という漫画がある。
母親を亡くした主人公が学校から帰ってくると家に小学生の女の子がいて、そして彼女は主人公に、自分はあなたのお母さんよと言う。死んで生まれ変わったのだと。物語は始まったばかりなので本当に生まれ変わったのかは定かではないのだが、村田椰融の『妻、小学生になる。』は亡くなった妻が明確に生まれ変わりとして主人公のもとに現れる。
妻となっているので主人公は妻の夫だ。愛する妻を亡くしてそれから10年。娘もいるが娘も社会に適合することができず家で引きこもっている。主人公も妻を失ったことによる傷心を癒やすことができないまま。
そんな主人公たちのもとに小学生の女の子が現れて、わたしがあなたの妻で生まれ変わってきたのだと告げる。小学生の女の子は主人公と妻しか知らないことを知っていて、そして主人公は彼女が妻の生まれ変わりであることを受け入れる。のだが、彼女は意識は妻であっても肉体は妻ではない。彼女には両親がいてそしてなによりも彼女は小学生なので学校に通わなければいけない。法律上は別人なのだ。
意識だけが妻という状況で主人公一家に幸せが訪れるのかといえばそれはまだ定かではない。たぶん、なんとなくだけれどもどういう結末になるのかは予想がつく。
しかし主人公たちの行く末を見守っていたくなる漫画でもある。

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