傑作「タイガーリリー」を収録した『乙女ケーキ』から六年ぶりに同傾向の作品を集めた短篇集がでた。
むろん、タカハシマコは『乙女ケーキ』以降も新作をコンスタントに発表し続けていたので久しぶりの新作というわけではないのだが、なにしろ「タイガーリリー」を読んだ時の衝撃は今でも忘れられない衝撃で、だから今回もひょっとしたらとんでもない作品が紛れ込んでいるのではないかという期待をしてしまう。
で、結論から言えば「タイガーリリー」のような傑作はなかった。
ただ、「タイガーリリー」が老女の物語を少女の姿で描くという技巧的な作品だったに対して、今回はそういった絵としての技巧よりももっとダイレクトな恋の部分に踏み込んだ話が多かった。
特に前半は少女の物語であるのに対して後半に行くにつれて年齢層が上がり、「タイガーリリー」で描いた世界を、彼女たちの実年齢そのままの姿で描いている。年をとっていても彼女たちの世界は繊細で儚げでそれでいていつものタカハシマコの物語と同様、少しだけ毒がある。
それはまるで、男である僕が踏み込んではいけない世界であるための彼女たちの防御手段でもあるかのようでもある。
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