とうとう完結した。
最初に1巻を読み始めたときにはこんな話になるとは思いもよらず、巻を読みすすめていくにつれて、なるほどというか、おお、そういう方向へと進んでいくのかと楽しませてくれた。
そもそも、第一話は太平洋戦争の末期、防空壕に避難をし空襲のなか耐えているおばあさんとその孫という場面から始まる。孫はこの空襲で自分たちが死ぬんじゃないかと不安になるのだが、おばあさんはその孫を安心させるために自分には未来を見る力があるという。そして孫の未来が見えているからお前は助かると。
半信半疑の孫におばあさんは自分の半生を話し始める。
はたしておばあさんには本当にそんな力があるのか、という謎はさておき、おばあさんが語る半生の物語はおばあさんがそんな特殊な力を持っているがゆえの苦しみを伴いながら進んでいく。
そして6巻という冊数を要しておばさんの半生の物語はおばあさん自身だけではなく彼女と関わりを持った人たちの人生も含めて描かれてそして未来を見ることのできる力の真実が明らかにされる。もちろんそれじたいはそんなに大したものではないのだが、明らかになった真相と第一話の物語がどう結びつくのかというのはこの最終巻の一つの醍醐味でもあったが、ああそういう結びつき方をしたのかと読み終えて納得した。
そして登場人物の一人ひとりが、けっして幸福な人生を歩むことができたのかといえばそういうわけでもないのだが、誰一人として孤独なままに人生を終わることなく描かれていて、ああ、よかったと安堵の吐息をもらす。
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