『ノラと雑草』

真造圭伍は『休日ジャンクション』ぐらいしか読んでいない。そのほかに電子書籍で期間限定で無料だった作品をいくつか読んだぐらいで、じゃあ気にならない作家なのかというとそうでもない。とはいっても積極的に手を出すというところまでは行かないもどかしさみたいなものがある。
そんななかようやくこれは、と思う作品に遭遇することができた。それがこの『ノラと雑草』だ。
娘を亡くした刑事と、その刑事が捜査中に出会った少女の物語。だと思う。
だと思うのは二巻まで読んで、その後の展開がちょっと変化しそうな感じだからだ。
少女の方は母親からの虐待を受けていて、その母親から逃げるために家出を繰り返している。一方刑事のほうは事故で娘を亡くしそれが原因で妻とは離婚、生きる希望もなくただただ刑事としての仕事をする日々。
そんな二人が、いや本来ならば守る側である刑事自身も誰かを助けることができるような状態にあるわけでもなく、そして少女の姿に娘の姿を重ね合わせ、なかば罪滅ぼしのような形で少女と一緒に生活をしようとする。
これで二人が幸せになっていくという物語であればそれはそれで良いのだが、そんな方向には進んでいきそうもない。傷ついた者同士が寄り添ってもお互いの傷がふれあい、そして傷口が広がっていく。

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