『幕末一撃必殺隊』永井義男

松本次郎がコミカライズした『いちげき』のほうを先に読んでいて、そちらのほうはまだ連載継続中で完結していないのだけれども、原作のほうは一冊で完結しているのでちょっと気になって読んでみた。
で、読んでみると、漫画版のほうが最終的にどういう展開になるのか、原作と同じようになるのか変わるのかはわからないけれども、おおよそのストーリーは同じだが結構オリジナルな展開になっていることに気がつく。
原作では特に誰が主人公というわけではなく群像劇に近い感じなのだ。
物語は大政奉還が終わった後という江戸時代末期。幕府との決着を望む薩摩藩の江戸での武力活動に対抗するために勝海舟は力自慢の農民たちを集めて訓練し、一撃隊を結成するというのがこの物語だ。
にわか仕込みの農民たちしかも訓練に要した日にちはわずか六日間。不意打ちを狙っての攻撃のみに特化し、防御は訓練しないというまさに一撃の戦法。
漫画では主人公格がいて彼中心に物語が描かれてそして一人ひとりのエピソードも描かれているのだが、こちらはそこまで深く描かれることはなく拍子抜けするほど淡々と客観的に物語が進んでいく。どちらが良い悪いというものでもなく、むしろ活字にするのであればこちらのほうがいいのだろうなと思わせる。
史実の中のあり得たかもしれない虚構の物語でいや、面白かった。

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