『終末の鳥人間』のもう一つの話。
といっても、続編ではないし、同じ世界の別の登場人物に目を向けた話でもない。
『終末の鳥人間』では某国の軍事行動が活発になり戦争へと向かっていく絶望的な世界だったが、こちらはそれが起こらなかったIFの世界の物語なのだ。
だから「終末」ではなく「週末」なのだが、戦争の影が息を潜めたかわりに、主人公たちの町の主流産業であるプラントと同一の九州地方のプラントが事故を起こしたことにより、主人公たちの町のプラントの安全性が疑問視され、プラント全体の停止の可能性が高まるという設定になっている。それによって仕事が失われ町の未来が消え失せてしまうかもしてないという閉塞感が漂う。
そんな中で主人公たちは『終末の鳥人間』と同じ人物で、同じように鳥人間コンテストに出場するための飛行機作りを行なっている。
あり得たかもしれないもう一つの世界でも、主人公たちの性格や言動はまるっきり変わらず、相変わらず馬鹿なことを行っているけれども、絶望へまっしぐらの前作と比べると、こちらは救いがある。
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