『バジーノイズ 3』むつき潤

曲作りの才能がありながらあくまで自分自身のためだけに曲を作り、自分のためだけに演奏する。
自分の作った曲を聞いてもらいたいとか、いわゆる承認欲求とかそんな気持ちなどまったくない主人公。今までにないタイプの人間を主人公とした音楽漫画ということで期待して読んでいたのだが、少しづつ変化してきた。
彼の音楽に惚れた人間たちが彼の音楽を世間に広めようとし始める。もともと主体性のない主人公は請われるがままに世間に対して演奏をする。
しかしそれでも彼の願いはあくまで自分自身のための音楽だったのだがこの巻に入って代わり始めていった。
ありていに言ってしまえば今までの音楽漫画と同様の方向へと向かっていくことになったのだが、それでがっかりしたかというとそんなことはない。方向が変わっていっても面白いままだ。主人公の気持ちの変化が丁寧に、いやゆっくりとそして納得できるかたちで描かれているからだろう。だから読んでいて主人公の心の変化がよくわかるのだ。それはまるで赤ん坊が少しづつ成長していく過程を見ているようでもある。

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