『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』高野秀行

なにかおもしろい話を読みたいと思ったとき、高野秀行の本を読めば確実におもしろい話を読むことができる。もっとも、この場合、フィクションではなくノンフィクションになるのだが、おもしろい話にフィクションもノンフィクションも違いはないので問題はない。
高野秀行は精力的に本を出してくれているので読むのが追いつかないこともあって新刊よりは休刊のほうを追いかけるので手一杯な部分もあるのだが、今回の新刊はタイトルを見ただけで無性に読みたくなった。なにしろ、美味しそうだから食べてみたではなく、ヤバそうだから食べてみたである。おまけに電子書籍化もされているので買わないでいるという選択肢がほぼない。
以前の著作の中で胃腸が弱いということが書かれていた記憶があったので、胃腸が弱いのにヤバそうな食べ物を食べて大丈夫なのかと読む前から心配になってしまうのだが、著者には悪いけれどもこの人の場合、どんな悲惨な事柄でも面白おかしい話にしてしまうので、心配する前に笑ってしまう。
以前に平坂寛の『喰ったらヤバいいきもの』という本を読んだことがある。こちらは本来は食材にはならなさそうな生き物を料理して食べてしまうという内容で、この本に比べると、まがなりにも料理して食べることができるものを料理して食べるのだからヤバそうといっても少々分が悪いなと思ったものの、調理前の生の食材を勘違いしてそのまま食べてしまって、店に人に、そんなもの食べたら死んでしまうよと言われたり、著者の行動が破天荒なのでなかなかいい勝負をしていた。
世界一臭い食べ物と言われるシュールストレミングを食べる話もあるのだが、他の食材と比べると当たり前すぎてヤバそうに見えないところがすごいのだが、それでもシュールストレミングを食べる話もしっかりと面白い話になっているところがすごいなあ。

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