とうとう完結した。
前巻での悲劇的な状況からウルナのこの物語がどういうところに着地するのだろうかと、期待と不安の両方があったけれども、読み終えて満足した。いや満足したというのはこの物語の終わり方にたいして間違っているのかもしれない。
知らなかったとはいえ、一つの民族をこの世から消滅させることに手を貸してしまった主人公、ウルナ。そして彼女が行った、あるいは行うことができなかった行動によって、この世から消えたはずの民族のたった一人の男が生き残る。そしてウルナはその生き残った彼を愛するようになってしまう。
彼の物語は前巻で終わり、そしてこの最後の巻ではウルナが自分自身に対して、あるいはこの世界に対して、そして亡くなった彼に対してどういう行動を起こすのか。
ここまでの展開から、悲劇が待ち構えているのかそれとも悲劇ではない物語が待ち構えているのか、もちろんそのどちらかしかないのだが、どちらなのだろうと思っていたら、その両方を描いていたのに驚いた。
もちろんそれは反則技でもあるけれども、悲劇の物語としてのカタルシスをも満足させると同時に、悲劇ではない物語も描いてしまう。
うん、これはよかったじゃないか。
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