5巻の予告が出てからかなり長いこと時間が経った。
連載は追いかけていないので休載が続いたのかと思ったりもしたけれども作者のあとがきを読んで納得した。連載そのものは去年終わったけれども、単行本化の作業が作者の体調不良や災害で遅れてしまっていたということだ。
そしてその挙げ句、紙での出版は消滅して電子書籍版のみとなってしまったらしい。僕は電子書籍で読んでいたので、出てくれればそれで良かったけれども紙の方を望んでいた人にとっては残念なことだろう。
連載の方は終わっていた、ということでこの物語もこの巻で終わりである。5巻まで続いたといっても連続的な物語というものはなく、主人公と若返った薄荷さんとの日常の、風景といってもいいようなエピソードが描かれているだけである。なのでどこで終わりとなっても大丈夫といえば大丈夫かもしれないが、しかし、最終回では薄荷さんが元の肉体にもどって終わりになるんじゃないかと勝手に想像していた。薄荷さんは第一話で少女の体になって主人公のもとにやってくるが、本来は老人である。主人公のばあやだった薄荷さんの主人公に対する思い、それはばあやとしての思いなのだが、彼女が寿命を迎えようとしてその最後の生命を振り絞って少女として主人公のもとに訪れたんじゃないかと思っていたのだ。だから最終回では薄荷さんが亡くなって終わるんじゃないかと。
そんな勝手な予想は、こういう終わり方も悪くはないなあという形で裏切られる。
そうだねえ、これは物語ではなく風景なのだ。
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