『ギガタウン 漫符図譜』こうの史代

『ぼおるぺん古事記』『日の鳥』と、ここ数年は漫画らしい漫画から離れていたこうの史代の新作。
相変わらず密度が濃いというか、四コマ漫画でありながらキャラクターは鳥獣戯画からとってきたキャラクターを使い、つまり鳥獣戯画で描かれているカエルやウサギがそのまま登場する、といってもしっかりとこうの史代のキャラクターとなっているあたりが素晴らしいのだが、さらにはこの本そのものが漫符に対する辞典のようにもなっているのだ。タイトルのギガタウンのギガは鳥獣戯画のギガである。
漫符とは、漫画で使われる特殊な記号表現のことで、竹熊健太郎と相原コージによる『サルでも描けるまんが教室』で初めて提唱された言葉だ。『サルでも描けるまんが教室』はリアルタイムで読んでいて、その当時は漫符という言葉が一般化するとは思わなかったのだが、今でも一般化しているのかどうかはわからないのだが、それでもこうしてこの言葉がその後の漫画家たちによって使われることになったというのはなんだか感慨深い。
オリジナルの鳥獣戯画では無表情だったカエルやウサギが漫符を使うことによって表情をあたえられ、喜怒哀楽を表していく。

コメント

タイトルとURLをコピーしました