『マンダリン・ジプシーキャットの籠城』鳥飼茜

男がほとんど生まれなくなり女性だけで社会を動かすようになった未来。男がいなくなったと同時に女の方も生むという能力を失いつつあった。そして数少ない男と、生むことのできる女は自由を奪われて厳重な管理下におかれてしまう。
そんな管理社会に嫌気をさした者たちは街をはなれスラム街で生活をしていた。
数少ない男の精子と冷凍された精子を使って人工的に子供を作りつつも、その限界が見え始め、人口はゆっくりと現象しつつある。それを唾棄する術もみつからない。
が、それは指導者たちが考えなければならないことで、スラム街で生活をしている主人公たちが考えることではない。絹のような髪を持ち、生む能力もある主人公は同じくスラム街でひっそりと暮らしている男とスラム街で生活をしている。
自分が何者であるのか。
それを考えることもあるが、わからないことはわからないこととしてそれ以上の追求をすることはない。
だからといって物語が彼女たちとこの世界の秘密を明らかにしないのかといえばそんなことはなく、この世界の秘密は次第にあきらかにされていく。主人公たちを巻き込んで。
世界の秘密とこの世界がどうしてこうなっていったのかは明らかになっていくのだが、それで世界が大きく変化していくのかどうなのかまでは描かれない。だからどこかとっちらかった印象もあるが、とっちらかったというのはこの世界そのものでもある。だから不自然ではない。
おおっぴらにすごい漫画だとおすすめするタイプの漫画ではなく、なにかおもしろい漫画があるかい、と聞かれたときに、ニヤリと笑いながらこんな漫画があるよと差し出したい。そんな漫画だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました