前巻でたった八人にまで減ってしまった人類。もっとも火星目指して行った人たちもいるので彼らを入れればもう少し多いのだが、多分火星へ向かった人々は生き残っている可能性が少ないのでやはり除くとして、ここからどうやって人類が繁栄していくのだろうかと思いながらページを開くといきなり五千年後になっていたので驚いた。
時間の経過があるにもほどがあるじゃないか。五千年も経っているので人類も増えに増え、文明も復興している。あえて言えば地球に戻らなくっても大丈夫なんじゃないかと思うくらいに繁栄している。
それでも地球に戻ろうとしているのは彼らの祖先である七人のイブたちの呪縛のようなものが遺伝子レベルで存在して受け継がれているんじゃないかと思えるし、実際のところ七人のイブたちの対立関係がそのまま五千年後にも維持されていて、人類はいまだに平和な社会をつくりえていない。
五千年経過したことで月の破片も地表へと落ちることもなくなりそろそろ地球へと降り立つ準備をしてもいいんじゃないかってことで、その準備をし始めるのだがそこで驚くべき遭遇をする。
なんと地球にも人類の生き残りがいたのである。彼らは地下深く潜り、光すら指すことのない地下の洞窟の中で産めよ増やせよと生き延びてきたのである。五千年もの間だ。
ということでどっちが人類の正当な後継者になるのかというか、ここでも、宇宙へ逃げていった者たちと地球で頑張った者たちとの対立があって、ここまでくると、まあそんなこともあるのかもしれないなあと思うしかないのだが、なんだか一巻を読んだときに期待していた物語からは遥かに離れてしまい、やっぱりニール・スティーヴンスンは今ひとつ自分の好みから外れてしまうんだよなあと思ってしまった。
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