さて二巻めである。
残り一年というところで前巻終わって、じゃあ二巻目では残りの一年が描かれるのだろうと思ったらいきなり滅亡寸前、つまりいよいよ予告された月の破片の落下間近というところから始まる。宇宙ステーションもまだまだ完成したわけでもなく、もちろんこれで完璧だというレベルまで完成させることなど最初から不可能だったわけなのだが、もう今の状態で5000年を乗り越えなければいけないという状況だ。
みんな一致団結して乗り切ろうとなるだろうと思っていると、いろいろとおかしな方向へと進んでいく。宇宙ステーションに行くことができる人は各国から選ばれるという事になっているのにいまだ一人も行くことのできていない国があったりして、そのことに不満を持ったその国の人達がロケットの打ち上げを阻止しようとテロ活動をし始める。一方でアメリカはというとそのテロを撲滅するために核攻撃をしたりして、もうむちゃくちゃであるわけだが、月の破片落下はそんなことお構いなしに地球めがけて落下し始める。そしてとうとう生き残った人類は宇宙ステーションにいる1500人だけとなってしまうのだ。
さて、地表では醜い争いがあったけれども、宇宙ステーションにいる人達は選ばれた人々なのでそんなことはないだろうと思っていると、アメリカ大統領が密かに自分のコネを総動員してロケットに乗って宇宙ステーションにやってきたところから歯車が狂い始める。宇宙ステーションで大統領は何をするかというと、火星に行って火星をテラフォーミングして生き延びようと考えている人たちがいるのだが、その彼らをそそのかして宇宙ステーションの人々を分裂させてしまう。で、大統領も一緒に火星に行くのかと思いきや自分は残るのだ。さらに大統領は火星には行かなかった残った人々を分裂させるようなことをしでかしていく。読んでいて辛くなる。
小川一水が同じテーマで書いたとすれば、目標に向かって一致団結して技術的な問題を次から次へと解決していく僕好みの話になったんじゃないかと思うのだが、残念なことに今僕が読んでいるのはニール・スティーヴンスンの書いた物語だ。
で、せっかく生き残った人類も次から次へと数百人単位で死んでいく。そして最後はとうとう人類最後の男性も死んでしまい、残ったのは八人の女性。うち一人は閉経後というわけで結果としては子孫を残すことのできる女性は七人で、彼女たちは単性生殖で人類を増やし生き延びようとするところで二巻が終わる。ようやくここで人類は一致団結したのだ。やれやれ。
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