左利き

左利きで不便だなと思うことは実はほとんどない。
というのも生まれてこのかた、世の中のあらゆるものはそういうものだという前提で生きているからで、右利きに合わせた道具に関しても、そもそも最初に使うのが右利き用の道具なので、結果としてうまく使いこなすことが出来なかったとしても、それは自分が不器用なせいだというふうに解釈してしまうのだ。
これが逆に、最初に左利き用に作られた道具を使っていて、そのあとで右利き用の同じ道具を使ったのであれば不便だなと思うのだが、先にも書いたとおり、比較する物が存在しないので、うまく使いこなすことができなくてもそれを道具のせいにするということはほとんどないのである。
ハサミなどは、右手で使うことを前提とした構造になっているけれども、これも左手で使ってしまう。
右手だと思うように力のコントロールが出来ないというのがその原因の一つだが、右利き用のハサミを左手で使おうとすると親指の力の入れる方向が不自然な形になる。
つまり、右手で使った場合、親指は押し出すように力をいれるのだが、左手の場合は手のひらの側へ引くように力を入れなければいけない。
端から見るとものすごく不自然な力の入れ方であり、それでいてそれなりに紙などを切っているので器用に見えるらしい。
しかし、当の本人はそんな自分を器用だとは思っていなかったりする。
数年前くらいからだろうか、刃の部分が直線ではなく、弧を描くように緩やかな曲線になっているハサミが売られるようになった。
この形状の方が切れ味がいいらしい。
いつかこのハサミを使ってみたいと思っているのだけれども、その一方で、今更そんな切れ味の良いハサミを使うのは癪だなと思う気持ちもある。

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