ライダーと付くと僕の場合は仮面ライダーが真っ先に頭に浮かぶのだが、この本は仮面ライダーの本ではない。
買ってから長いこと積読にしていたが、それというのもどこに置いたのか行方不明だったからだが、本の整理をしていたら見つかったので、またこのまま積読にしてしまう前に読むことにした。
あとがきを読むと、読む人を選ぶ本だということが書かれていたが、そもそも、文明が一度崩壊した後の世界、アメリカでは西武時代を彷彿させるような形で文明が復興した時代。それだけで僕のために書かれた、というのは言い過ぎだが、僕が選ぶべき本だということは想像がつく。
しかし、読み始めてみると、これがなかなか壮絶な部分があって、そもそも、人肉を食べることがようやく禁止された時代という設定なのだ。それというのもなんらかの大災害があって、文明が崩壊し、かろうじて生き残った人々は生きるためには人肉を食べるということをしなければいけないほど過酷な状況にさらされたのである。
しかし、クローン技術によって牛の大量クローン化が成功したことにより、人肉を食べる必要がなくなる所まで来た。もっともそれでもクローン牛には人間の遺伝子も組み込む必要があり、クローン牛は半人半牛なのである。
なかなかおぞましい世界でもあるのだが、そこに寄生虫の存在が登場する。
人体に寄生し卵を産み、孵化した幼虫は寄生主を内側から食いながら成虫していくのである。この描写がこれまたそぞましく、読んでいてムズムズとしてくる。
しかし、そういった部分がこの本の主題ではなく、マリオ バルガス=リョサが『世界終末戦争』で描いた、19世紀末のブラジルで起こったカヌードス戦争を彷彿させる物語が主軸で、どうしてそんな物語になるのだといいたくなる部分もあって、無茶苦茶な物語でもあるのだが、この濃厚さと濃厚でありながら意外と軽やかな部分もあって堪能した。
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