好きな人は好きなのだろうけれども表紙からして購買意欲が下がってしまう。
かつてひばり書房という怪奇漫画を主に出していた出版社があったのだが、その雰囲気をそのまま醸し出している。一瞬、そのひばり書房で出していた漫画の復刊かと思ってしまうくらいなのだが、そういう点では想定したターゲットに対してピンポイントで直撃をする本だ。
しかし、それはそれで構わないと思うのだけれども、実際に読んでみるとそれ以外の人もターゲットにしていいのではないかと思ってしまう。
ということで表紙の絵を見ても購買意欲の湧くことのなかった僕もそれ以外の人だったが敬遠しなくってよかったと思う。
ジャンルとしてはホラーになるのだろうけれど、それは最初のうちだけで、途中から様々なジャンルが入り込んでくる。絵はお世辞にもうまいとはいえないのだが、読み始めるとそんな絵の巧い下手などという部分など些細な問題に過ぎなくなってくる。むしろ本当は巧いのだけれどもあえて下手に崩しているんじゃないのかという気さえ感じさせるくらいだ。
口が目になっている謎の女の正体を突き止めようとする主人公の女の子。しかし彼女はこんな人間が主人公で大丈夫なのかと思ってしまうほど自分勝手で我儘で、それゆえに要所要所で彼女の行動がギャグになっていて、怖さというものが吹き飛んでしまう。
ホラーでありギャグであり伝奇物でありそれでSFでもありさらには終盤は感動もさせてくるハイブリッドな漫画だ。
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