午前中に洗濯をして外に干してから妻の面会に行く。
病院まで50分ほどかかるのが難点だがしかたがない。
木曜日の電話で薬の副作用でそわそわして辛いと言っていたのがずっと気にかかっている。向こうからは電話をかけることはできるけれどもこちらからは電話をかけることができない。だから僕がいくら心配しても確認する手段としては面会するしかない。ひょっとしたら副作用がひどくなっているんじゃないのかとか、考え出すとどんどんと悪い方向に向かっていってしまう。それというのもやはりネットを調べていると薬の副作用で辛い思いをしている人のことを目にしてしまうからだ。もちろん何かあったら病院から電話がかかってくるはずなので、なにもないということは心配するようなことは起こっていないということだ。そう思うしかないのだが、病院に向かって車を運転しているなか、良くない考えしか浮かんでこない。
受付で面会票を書きながら、あと何回これを書くのだろうかと思う。
面会室で待っていると妻が入ってきた。見た目はそれほど悪そうではないが声が少しおとなしい。そわそわ感はまだのこっているのかと聞くと、昨日の夜に飲んだ睡眠薬がまだ効いていてぼーっとしているので少し楽だと言った。薬の効果が切れてくると辛くなるらしい。
持ってきた100%のジュースを早速飲み始める。美味しそうな笑みを浮かべる。自動販売機はあるが100%のジュースはない。妻は100%のジュースが好きなので、持ってきてよかったと思う。
昨日の診察のときに先生に、外出をしてもいいかと聞いて、院内だけだが外出の許可をもらったと少し嬉しそうに言った。思い切って言ってみてよかったと。
妻のいる病棟は閉鎖病棟なのでその階しか動き回ることができない。もっとも院内だけの外出といっても一階に行くことができるというだけで、売店と喫茶店、中庭くらいしか行くことができないのだが、それでも妻にとっては大きな飛躍だ。
一時間ほど話をして面会を終える。面会後に患者の様態について用紙に書いていると病室へ戻っていったはずの妻が立っていた。外出できるのだったら一緒に外出したいという。看護師さんに許可をもらい、一緒に一回まで降りる。売店を覗いて、喫茶店も覗く、喫茶店は時間外だったので開いていなかったが雰囲気だけは妻も感じることができたようだ。中庭にでると、風が気持ちよかった。妻も表情が明るくなる。やはり外にでるというだけでこんなにも生きているということを感じることができるのだ。
外出は一時間といういことで結局二時間以上妻と一緒にいた。
そのせいで帰りはひどく寂しく感じた。
夕方になって、そろそろ夕食の準備をしようとおもっているところに電話がかかってきた。妻からだった。副作用が辛くなってきたのかと思ったがそういうわけでもなく、妻も寂しかったようだ。4人部屋に移ってから周りに人がいる状態が、人見知りが激しく、他人の目を気にしてしまう妻には辛いようで、ビビリの自分には辛いと弱音を吐く。
結局のとろこそういった部分も含めて統合失調症の症状の一つだと思う。もちろんそれは僕がそう思っているだけで、実際は病気の問題ではなく持って生まれた妻の性格に由来する部分かもしれないが、薬を変えてようやく治療のスタートラインに付いたのだと思う。
コメント