あらすじを見て、なんだか『病の世紀』に似ているなと思ったら、『病の世紀』と同じ世界であり、あの事件から数年後の話だった。
『病の世紀』がせっかくの面白い設定であり主人公達だったのに一巻で終わってしまって残念に思っていたので今回のこの物語は嬉しい一冊だ。
とはいうものの、題名に偽りがちょっとあって、奇病探偵とありながらも探偵じゃないよね。まあ細かな部分だから気にしなければいい話なんだが。
で、今回は主人公がほとんど役に立たない。主人公はどちらかといえば奇病研究所の所員たちの暴走に振り回されるだけといった感じで、その暴走する所員がみんな女性達ばかりなので、ようするにいつもの牧野修の物語であって、強い女性が大暴れという物語なのだ。
ただ、主人公側の女性の強さにくらべて、敵側のほうがちょっとばかり力不足というか、魅力に欠ける部分があって、もちろん、終盤ではそれなりの危機が訪れるのだけれども、なんとかなるんじゃないのかという感じが最初からしていて絶体絶命の絶望的な刹那さというのに乏しい。
ひょっとしたらシリーズ化されるんじゃないかという淡い期待もあるのだけれども、あまり期待せずに待つことにしよう。
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