駕籠真太郎は作風的に苦手なのだけれども、それでも『フラクション』はとりあえず読んだ。
漫画であること、そしてその漫画で表現できることを活かしたミステリでありつつも、やはりエログロの人である駕籠真太郎の漫画に違いはなかったので、その延長線上にある『アナモルフォシスの冥獣』のほうは読むことはないだろうと思っていたのだが、電子書籍で半額になっていたので思わず買ってしまった。
新古書店だったらもっと安い値段で売られていたかもしれないのだが、新古書店だと中身を読むことができてしまうので、その時点で買うところまでいかないだろうけれども、電子書籍の場合は、サンプルを読むということは可能であるが、そのまえに買ってしまう方を選んでしまうので僕にとっては電子書籍というのはありがた迷惑な部分もある。
それはさておき、今回はホラーよりの展開をしていく。
ホラーも苦手なのだが、グロテスクなものよりはまだ大丈夫なので、これだったらいけるかなという気持ちも湧いてくる。
『フラクション』と同様、二つのパートに分かれて交互に話が進んでいく。
とある金持ちが世間から隔離された場所に、悲惨な事件や事故のあった場所を忠実に再現して、そこでイベントを開催する。Aパートの方は、そのイベントに参加した男女の話だ。Bパートはそれとは関係のない話で、これから撮影する映画のためのロケハンをする二人の話である。
ともに直接的な接点はないのだが、Aパートの登場人物が謎の死を遂げたあたりから不可思議な形でBパートに結びつく。というのもAパートで亡くなった人物がBパートで死体となって現れるのである。しかし、Aパートの舞台は隔離された場所。主催者の持っている鍵を使わなければ地上へは出ることができないのだ。ではどうやって死体はもう一つの場所へ移動することができたのだろうか。と、かなりミステリ的要素が入っているのだが、オカルト要素が満載なために、そこで起こっていることは超常現象のたぐいではないかとしか考えられなくなっている時点で作者の企みにまんまとのせられてしまっている。そして終盤でこの世界の構図が明らかになった時、思わず唖然とする。
タイトルの意味を考えると、なるほどそういうことかと思うわけだが、そこまで考えずに読んだのでまんまとうまく騙されてしまった。
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