魔法はつづく

オガツカヅオの短編集。
一部はWEBで公開されているのだが、収録にあたって手直しされた作品もある。
「しあわせになりませう」などはその最たるもので、公開バージョンも良かったのだが、収録されたものはさらに解像度を上げてよりわかりやすくシャープになっている。公開バージョンではあいまいだった結末もはっきりとそしてより悲しみをもった形に改良されているので、WEBの公開バージョンだけ読んで満足していたら大間違いだ。
ホラー漫画というくくりになっているが、必ずしもホラーというわけでもなく、ここでいうホラーの範囲はかなり広い。
たとえば巻頭の「はじめましてロビンソン」は事故で体が徐々に透明になっていってしまう男性の物語で、SFといってもいいかもしれない。体が透明になっていき、そして最終的には存在自体も消えてしまうしまうというのは怪奇現象かもしれないが、物語の中では消えてしまうことに対する恐怖はあるけれども、怖さよりも悲しみのほうが優先される。主人公たちにとっては恐怖であると同時に愛する人の存在が消えてしまうことに対する悲しみのほうが大きいのだ。そしてラストは驚くことになんと感動してしまう。
一番ホラー要素の少ないのが表題作「魔法はつづく」で呪いという束縛から始まった物語は次々とその怪奇の部分が怪奇ではないものへと転換されていって最終的にはなにも不思議なことは起こっていなかったという部分にたどり着くのだが、そこから一気にさりげなく、そして何気ない畏怖に突き落とされる。順番を考えると最後にこの話を持ってくるしかないだろうけれども、こんな話を描くことができるというのが素晴らしい。

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