角の男 1

『兎が二匹』の作者、山うたの新作。
今回は1巻とナンバリングされているのでどのくらい続くのかはわからない。
いつの時代かはわからない。中国風の文化の世界。
この世界には二つの種族がいて、一つは僕たちと同じ人間。もう一つは頭に二つの角を持った人間。
違いは角があるかないか、それだけだ。多分。
角があるというだけで、それ以外に特別な能力があるというわけではない。
ただ、角のない人間の方が種族として大きな勢力をもっており、この世界では角のない人間が国を運営している。そのせいだろうか、角のある人間は奴隷として扱われている。
角のある人間を奴隷として扱っていながらもこの国はそれほど豊かではない。角のある人間を養っていくだけの国力もない。
そこで、角二本と引き換えに報酬が支払われることとなる。角二本があればいい。つまり生死を問わずである。
読んでいてヒリヒリとするような痛みがともなう物語だ。
前作もそうだったのだが、ハッピーエンドには向かいそうもない描き方をする作者である。
本当はとてつもなく悲しいのに、それでも読者に向かってみせる笑顔が、心に突き刺さってくる。

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