女子高生ののぞみはあるとき、生物学の教師に呼び出される。
そこで彼女が見たものは奇妙で小さなかわいい生き物だった。ただし、かわいいというのは彼女の主観による。
生物学の教師が彼女に差し出すのはヒドラとかフジツボとかナマコ、あるいはクマムシといったちょっと変わった生き物ばかり。そんな生き物の生体に魅せられた彼女は先生の教えのもと、飼育を始める。
毎回毎回さまざまな生き物が登場し、どうやって飼育すればいいのかといったうんちくが語られる。そういう点では理系漫画であり生き物の飼育に役に立つ漫画でもあるのだが、ではこの漫画を読んで自分も生き物を飼育してみようと思うかといえば微妙でなにしろ、フジツボとかヒドラとかそういった生き物しか登場しないからだ。一般的な意味でかわいい生き物ではない。
とはいえども、飼育するのに特殊な装置が必要だとか特別な技術が必要な生き物は今のところ登場しない。そもそも舞台は高校であり生物学の教室で飼育できるレベルの生き物、なおかつごく普通の女子高生が飼育できるレベルの生き物である。
というのがこの物語の縦糸であり横糸となる物語が存在する。
それはこの本の表紙をみれば想像ができるように、飼育している彼女は同時に飼育されているのである。
生き物を飼育する少女は同時に彼女自身が飼育されている。生物学の教師にだ。
コメント