4巻目に入って、ああなるほどと思うことができた。
大枠の物語としては、クラゲのような異星生物に蹂躙された未来の地球、効果的な戦いはできないものの、異星生物そのものを負傷した兵士の治療手段として用いることで戦死者の数を激減させることに成功し、かろうじて対抗し続けることができているという物語があるのだが、メインの物語は良くいえば一途、悪くいえばストーカー器質の主人公の不倫話だ。
ただここまでならば奇をてらった物語でしかないのだが、異星生物を使った治療、作中では修繕と呼ばれているが、これを行うと、意識や記憶、人格はそのまま維持されるが、感情は途切れてしまう。
主人公が恋する相手は学校の先輩であり、異星生物と戦う兵士である。すでに何度も負傷して修繕が行われ、心変わりは少しずつ発生している。先輩は結婚していて子供こそいないが家庭がある。しかし修繕によって妻に対する愛情は心変わりをし、主人公へと向けられる。
しかし、こういった心変わりは修繕をしなくても発生する。好きだった相手と何年も一緒にいれば最初の頃の気持ちと比べると変化は起こる。好きなままだったとしても好きの度合いは変化する。
修繕という手段によって半ば強制的に心変わりしてしまう相手に対しての恋愛は幸せなのかと思ってしまうが、修繕のない恋愛でも心変わりは起こりうる。なるほど、と思う。
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