電子書籍で1巻と2巻が無料になっていたので試しに読んでみたら思いのほか面白く、そのままいっきに5巻まで読み終えて続きを楽しみにしていたら6巻がでたのだが、なんとこの巻で完結。
あれだけの伏線と設定のかたまりを残りの1冊でまとめ上げることができるのかと不安だらけだったが、これはこれで悪くないなあという終わり方だった。
とこう書くと傑作にはならなかったのか、というふうに聞こえるけれども、たしかに手放しでの傑作にはならなかったが、そもそも手放しでの傑作になるような設定だったのかというとそうでもないだろう。理詰めでつくられてはいるけれども、だからといって無理のない設定なのかというとだいぶ無茶で破天荒な設定だ。それを考えると、手放しでの傑作にはなりようがなく、無茶で破天荒な設定をそのまま勢いを失わずに着地させたと言ったほうが正しいだろう。
そもそも、今までの伏線を回収してまとめ上げることをしなければいけない最後の巻においても全然回収する気もまったくないまま絶望的な展開に向かってまっしぐらの展開が続く。
宇宙ステーションに一人取り残された主人公は生き延びるために食料の栽培をしているけれども、どう手をつくしてみても手持ちの食料がなくなるまでに収穫することができるところまではいかないという状況。さらには神々とのやむを得ぬ取引をしたことで、神々からの防御のための手段もなくなるし、高レベルのアバターも死なせてしまい、完全に手詰まりの状態になる。
残りの紙面も少ない。
そんな状況の中で一気に物語を着地させるためにはこの手をつかうしかないだろう。
読み終えてからどう思うかは人それぞれだろうけれども、一気に畳み込まれて、少なくとも読み終えた直後は満足した以上、文句などいえるはずもない。してやられたという方が正しい。
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