<孤独な娘>、それは新聞の人生相談欄で読者から来たさまざまな悩み事にたいして回答をする人物のペンネームだ。
そしてこの回答欄を担当しているのはペンネームから想像するような女性ではなく、この新聞社に勤める一人の若い男性。
人生相談に寄せられる内容はどれもやりきれない内容のものばかりであり、新聞上で回答するだけで簡単に解決できるようなものではない。
それ故に、<孤独な娘>は自分の仕事に悩み、相談者と向きあうことで次第に摩耗していく。所詮は紙面の穴埋め的なコーナーであり仕事の一つであると割りきって対応することができれば、こうまではならなかっただろうが、そうはいかなかったところに彼の不幸がある。と書いてしまうのは簡単なのだが、この物語が書かれたのは1933年。<孤独な娘>自身も悩みと不安を抱えた状態であり、決して幸福な生活を送っていたわけではないのだ。
不幸が不幸を呼ぶ、というわけではない。だれもが不幸な状態にあって、そのなかではある程度の距離を置かなければ生きていけないということでもある。
読んでいて楽しい話ではないのだが、1933年という時代のアメリカがどういう雰囲気を持っていたのかということを味わうことができる。
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