時代は終戦直後の東京。
門松という復員兵が同じ部隊の部隊長だった川島と出会うところから物語は始まる。
門松はクマのような巨体で知恵よりも力が先に回る男。それでいて義理堅く部隊長だった川島のことを慕っている。一方、川島のほうは力もあるが物事を理屈で考える男。門松よりも先に復員してきて東京でかろうじて生活をしている。
能天気な門松に対して、なにか悩みを抱えている、いや、いつも心ここにあらず、というか、自分自身がしなければいけないことを見つけることができないまま流されるように生きている川島。
4巻あたりでようやく希望のようなものが見え始めたのだが、5巻で川島の父親が登場し、父親の呪縛を抱えていたことがわかる。いっぽうで川島の父親も戦争という呪縛を抱えたままであり5巻の終わりでアメリカ兵に盾突いて殺されてしまう。
6巻ではようやく父親の呪縛から意図せずして解放された川島は一人旅に出る。
川島不在の中、門松は門松でトラブルに巻き込まれるのだが、旅から戻った川島と合流し、そして川島と行動を共にすることとなる。
川島と門松が共にいる場面が素晴らしい。もともと愛嬌があって色っぽい絵を描く人なのだが、川島と門松の二人の絵の対比が色っぽいのだ。変な意味ではなく、思わず惚れてしまいそうになる。
そしてそこに哀愁が重なる。
次巻で完結となるようだが、終わってしまうのが惜しいような、その一方で川島の苦悩に終わりがくることに安堵する気持ちもある。
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