菜時記 長月/辛亥

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
精神障害を持つ人と共に生きるということは、僕の場合でいえば平穏と悲しみの間を行ったり来たりする生活である。楽しむということはとうの昔に捨て去った。
楽しもうという気持ちなど持たないほうが楽だからだ。
菜時記 長月/辛亥
台風が近づいてきて雨が振り始めている。
台風そのものはまだまだやっては来ないけれども、雨風は強くなる可能性があるので朝早く買い物に出かける。
開店時間直後なので、理解はしていたけれども、案の定、まだ品物は出揃ってはいない。
バナナが4本で159円だったので買うことにする。
キャベツは1/2カットで73円。先週よりは安いので悩むことなくかごに入れる。長ネギが2本で170円。悩むのだが、次の店で安いとは限らないので思い切って買ってしまう。
ピーマンは5個入って138円。これは悪くはないのでかごに入れる。
大根が1/2カットで95円。まあこんなものかと買うことにする。
地元野菜コーナーでは山ほうれん草なるものが売られている。ほうれん草が欲しかったが、通常のほうれん草が高く、こちらは140円だったので買ってみることにする。
レジで精算するとけっこう安く済ますことができた。
続いて次の店へ。
トマトが4個で321円。
胡瓜はまだ安く、5本ほど入って186円。
長ネギが2本で105円だったのが残念だが、これは諦めるしかない。
次に店でも安く済ますことができ、雨もそれほど強くないうちに帰宅することができた。
概ね満足である。

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