コズミック・オデッセイ

今まで敵対しあっていた者同士が手を取り合って、より強大な敵に立ち向かうという話はアメコミの世界では常套化しているので、マイク・ミニョーラが絵を担当していなかったら翻訳されなかったかもしれない。もっともアメコミの世界にはそれほど詳しくはないので、この物語が歴史的価値のある物語なのかもしれない。
そもそも、敵側であるダークサイドという悪役がどんな存在なのか知らないうえに、背景となる物語も全然知らない。
しかし、そのあたりは冒頭で解説として書かれているのでそれを読めばおおよそは判るようになっているので安心できる。
ヒーロー大集合といった話なので、スーパーマンやバットマン、グリーンランタンなどが登場して協力して強大な敵に立ち向かうというシンプルな物語なのだが、日本でこの手の物語を描くとするとヒーローは善人として描かれるだろうけれども、アメコミの場合はちょっと違う。
グリーンランタンは自信過剰でそれ故に任務に失敗してとある星系そのものを消滅させてしまう。そしてそのショックで号泣し、自殺まで図ろうとしてしまう。かろうじて未遂で終わるのだが。
その他にも善の側であるオライオンというヒーローは差別主義者で、おなじ仲間のフォレイジャーというヒーローを下層民族として蔑むは、強大な敵に洗脳されてしまった惑星の民族を、任務遂行のためだといって皆殺しにしてしまったりする。あまりの外道さにスーパーマンが怒り狂ってオライオンを殴ってしまうというエピソード付きだ。
かろうじてスーパーマンとバットマンは良い人っぽく描かれていて、蔑まれたフォレイジャーも気弱ながらも善人として描かれている。しかし、バットマンは中身はただ単に普通の人よりもちょっと力強いだけで特殊能力は持っていないし、フォレイジャーもそれほど強いわけでもない。唯一の例外がスーパーマンだけれども、スーパーマンはオライオンとコンビを組んで別の星を救いに行っていて、残念ながら地球の危機を救うのはバットマンとフォレイジャーという最弱コンビなのである。
そんなわけで、この物語はこいつらに宇宙の平和を任せてしまって大丈夫なのかと思いたくなるほど個性的なヒーローが宇宙の平和を守ろうとする話だ。

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