表紙では、ロバート・F・ヤングとフリッツ・ライバー他と、ヤングとライバーだけが取り沙汰されていて、最初はまたヤングの短編かと思うところもあったのだが、収録作品をみて驚いた。
T・L・シャーレッドの「努力」が入っているではないか。昔から読みたくって、そのあたりの顛末は少しだけ『タイムカメラの秘密』でも書いたのだけれども、結局、中途半端な形でこの作品に触れてしまったせいで、今まで読まずに来てしまっていた。
で、ようやく読むことができたのだが、実際に読んでみると、やはり『タイムカメラの秘密』とは味わいがまったく異なっていた。
福島正実がどうしてこのような翻案レベルのことをしたのかはわからないが、しかし、『タイムカメラの秘密』が子供向けということであれば、『タイムカメラの秘密』におけるラストの改変は仕方がない気もする。さらに、こうして読み比べてみると、『タイムカメラの秘密』は『タイムカメラの秘密』で、そんなに悪いものではないようにも思えるから不思議だ。そんなふうに思ってしまうのは「努力」があまりにも悲しすぎる展開だからだろう。
一方、冒頭でまたヤングかと書いているけれども、今回収録されたヤングの作品はそんなに悪くはない。アンソロジーの中の一遍として読むのであれば、このくらいの甘ったるさは適度な味付けでもある。
フリッツ・ライバーの「地獄堕ちの朝」は<改変戦争>シリーズの一遍。ときおり<改変戦争>シリーズは翻訳されるんだけれども、まとまって一冊の本として翻訳される可能性ってのは無いのだろうかね。
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