押井守の『監督稼業めった斬り―勝つために戦え!』が面白かった。
白状しておくと僕は押井守の映画を見たことがない。
『うる星やつら』は漫画もアニメも好きだったけれども映画化されたあの有名な作品は見ていない。
『パトレイバー』も漫画は全巻読んでいて好きな漫画のひとつなのにアニメのほうは見ていない。
コンピュータに、それもネット関係に携わる身でありながら『攻殻機動隊』も見ていない。
押井守という人物が嫌いなのかというとそんなことはなく、ただ単に見るきっかけがなかっただけだ。
とはいえども、見るつもりがあるのであれば今であればレンタルショップへ走るなり、動画配信サービスを利用するなり数百円程度の出費で見ることができるのだから、それさえしないというのは、やっぱり嫌いなんだろうといわれても仕方がない、
しかし、いまさら『うる星やつら』でも『パトレイバー』でもないだろうし、『攻殻機動隊』は士郎正宗の原作は読んでいるし、あれを押井守がどのようにアレンジしたのかに関してはあまり興味はない。
どちらかと言えば押井守が作った作品よりも押井守自身の考え方の方に興味はある。
ということで、こういう、本人が語った文章を読むほうが僕にとっては楽しいのである。
で、前述したとおり、この本は面白い。
映画を撮るということに対してものすごくクレバーであり、自覚的で、大ヒット作を作らないことが勝つための秘訣だと言っているあたりは、有限実行している点も含めて天才だ。
そして何よりも、自分にとっての勝つという意味をしっかりと理解している点が、それを可能としているのだろう。
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