記事タイトルにひかれて初めてこのページをご覧になった方は、こちらを最初に御覧ください。
- 『漫画家超残酷物語 青春増補版』唐沢なをき
最後は、こんなにも楽しませてくれる漫画を描いた作者のほうに目を向けてみよう。
唐沢なをきの『漫画家超残酷物語 青春増補版』はタイトルから想像できるように永島慎二の『漫画家残酷物語』全3巻のパロディだ。
だったら永島慎二の『漫画家残酷物語』の方を選んだほうが良かったんじゃないかという意見も出てきそうなんだけれども、さすがに『漫画家残酷物語』は今となっては古びてしまっている。もちろん作品そのものの価値は揺るぎないものだけれども、ここで描かれている漫画家たちは1960年代に生きた漫画家たちで、漫画家に目を向けるという意味だと少し辛い気がする。だったら両方選んでしまえばいいじゃないかという考えもあったが『漫画家残酷物語』は全三巻なので、これを入れると他の作品をはずさなくてはいけないので敢えてここでは現代風にアレンジしたパロディである『漫画家超残酷物語 青春増補版』を選んだ。『漫画家超残酷物語 青春増補版』の最初の話は「サムソン」という題名だが、この作品は『漫画家残酷物語』の中にある「うすのろ」のパロディだ。名作と呼ばれる作品のパロディに挑戦し、なおかつ元ネタを知らなくても十分におもしろい作品に仕上がっている。そしてなおかつ、ギャグ漫画でありながら漫画家というものの業の深さと、オリジナルである『漫画家残酷物語』が描いている若き漫画家たちの苦悩や夢や希望、そして挫折もあますところなくすくい上げている。
さて、これで以上99冊の漫画について触れてみた。
もちろん、これ以外にも5巻以内で完結する面白い漫画はある。
できることならば、100冊目は永島慎二の『漫画家残酷物語』を選んで欲しい。
時代はまた過去にさかのぼり、そして今度はあなたの99冊を見つけてもらいたい。
コメント