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- 『時の鳥を求めて』セルジュ・ル・タンドル(作)、レジス・ロワゼル(絵)
ここまでストレートなヒロイックファンタジーというのは珍しい気もする。
220ページ弱とページ数は少ない。一般的にファンタジー物語というとやたらと長大な物語というイメージもあるし、日本の漫画の一般的なページ数と比較してみてもやはり少ない。しかし、いざ読み始めるとこれが長く感じられる。一コマ一コマの絵の魅力に魅了され、ページをめくる手が進まないのだ。多分これは日本のマンガが一瞬を切り取って一コマにしているのに対して、一コマに様々な情報を詰め込み、一コマの中で時間の流れの変化さえも描いているせいでもあると思う。だから、全体のページ数は少なくてもそこに詰め込まれた情報量は決して少なくはない。
その一方で、絵の魅力もさておき物語の方も単純な物語ではなく、多少説明不足と思う部分もありながらもそこは想像で補うとして、ストレートなヒロイックファンタジーでありながらも、引退した老騎士と彼の娘かもしれないヒロインの世界を救う旅の物語は、次第に老騎士自身の物語と重ね合わさり、そして最後に一つに重なって行くという凝った構成になっている。
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