たーたん

主人公は43歳男性、独身、童貞、そして15歳の娘あり。
と書くと、小路啓之の『ごっこ』と設定が似ている。ただし、あちらは無職でさらに父親の年金を不正受給していてさらに娘は誘拐してきた娘であるのに対して、こちらは、宅配の仕事に従事していてそして娘も誘拐してきた娘ではない。友人が犯罪を犯してしまい懲役刑となったしまったために生まれたばかりの友人の娘を父親代わりに育てることとなってしまった主人公。結婚もするまもなく子育てをしなければならなくなり、そんないわゆる、いい人であるがゆえに15年経った現在も母親は死んだ偽って友人の娘と二人っきりの生活をしている。しかし、刑務所に入ってしまった友人も1年後には出所してくる。かならず戻ってくると約束をした友人。しかし、主人公は娘にそのことをまだ話していない。いや勇気がなくて話すことができない。
1年という猶予はあるのでまだまだ話は続くのだろうけれども、父親にも反抗をするようになった中学生の娘に翻弄される主人公のありさまというのは自分に娘がいたとしたら自分もこんな感じになってしまったのかもしれないなあと思いつつ、最後はなんだかんだ言ってうまく収まるところに収まるのだろうけれども、そういったある種の予定調和的な部分を感じさせるあたりが読んでいて心地よい。

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