十篇中、六篇が既読なので、コストパフォーマンスは少し悪かったのだが、こういうものはお布施のようなものでもあるので損をしたという気持ちはない。
ただ、電子書籍で出てくれるとありがたかったのだが、アンソロジーの場合は全員の了承が取れないと無理なので、基本的にアンソロジー系の本は紙の書籍で買うしかないのだろう。
矢野徹の「折紙宇宙船の伝説」はてっきり長編だとばかり思い込んでいたので短編版があるということは知らなかった。もっとも、矢野徹の作品をもっと読んでいたならばそのくらい知っていたのかもしれないが、幸いな事に長編版が電子書籍化されているので今度読んでみることにしよう。
横田順彌の「大正三年十一月十六日」は得意の押川春浪ネタ。一読した印象はそれほど悪くはないかなといった感じだったが、よくよく考えてみると1977年にこういう話を書いたってことはかなり凄いと思う。しかし、1977年ということであれば、この作品の代わりに堀晃の短編版「バビロニア・ウェーブ」を入れてもいいかなという気もする。
神林長平の「妖精が舞う」は<戦闘妖精 雪風>シリーズの原型となった短編。『戦闘妖精 雪風』を読んだのはかなり昔なので、細かなところは忘れてしまっていたけれども、この短編は第一話の原型ではなく『戦闘妖精 雪風』の原型に近いのが面白い。
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