漫画の新しい形

『塩素の味』『ポリーナ』のバスティアン・ヴィヴェスがバラックとミカエル・サンラヴィルの三人でトリオを組んで制作した『ラストマン』の1巻が出た。
全12巻の予定で本国では9巻まで出ているということなので、日本でも最後まで出てくれるとうれしいのだが、バスティアン・ヴィヴェスの絵が日本で受け入れられるのだろうかと思うと不安もある。
トニー・ヴァレントの『ラディアン』は順調に4巻まで出ている。『ラディアン』の場合は日本人ではない漫画家が日本の漫画の文法と絵でもって日本の少年漫画を描いたということで、作者名を伏せて読んだとしたらこの漫画を描いたのは日本人だとしか思わないだろうというくらいに日本の少年漫画であるのに対して、『ラストマン』の方はバンド・デシネの絵でもって日本の漫画の文法で少年漫画を描いている。
なので、絵だけ見るとかっこいい少年も可愛らしい少女も登場しない。
とある王国で開かれる格闘技トーナメントに参加する少年の物語。そのトーナメントにはコンビでしか参加することができなく、少年のパートナーもいたのだが前日の夕飯を食べ過ぎて体調を崩し、その結果棄権しなければいけなくなってしまっていた。そこへ、その少年と同じくトーナメントに参加しようと思いながらもパートナーがいないために参加できなかった謎の男が現れる。利害の一致した二人は即興のパートナーとなりトーナメントに参加する。
しかし、少年の方はお世辞にも強いというわけでもなく、はっきりいえば弱い。それに比べて男の方は粗野だが腕力だけは天下一品。ただし、この格闘技トーナメント、いやこの世界、魔法が存在していて、参加者は魔法を詠唱し戦う。
そして詠唱している最中は攻撃をしてはいけないなど、独特のルールがある中で、腕っ節だけの男と、たいして強くもない少年は果たして勝ち残っていけるのだろうか。という展開なのだが、物語はさておき、絵のほうである。
一見すると手抜きとしか見えない簡略した絵。そして少年漫画からはかけ離れた細く繊細な線。しかし、その線で描かれた人物は流れるような動きがあり、ときおり集中線が使われるけれども、そんなものがなくても動きのある絵がそこにはある。
完結するまで翻訳されることを祈りたい。

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