『談志が死んだ』立川談四楼

  • 著: 立川 談四楼
  • 販売元/出版社: 新潮社
  • 発売日: 2012/12/18

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以前にも書いたことがあるけれども、僕は落語も好きだけれど、落語家という存在を描いた物語も好きだ。
立川談志が亡くなった後、快楽亭ブラックが書いた『立川談志の正体: 愛憎相克的落語家師弟論』を読んだ。
快楽亭ブラックという、立川流から半歩離れた人間による立川談志という人物像という点で興味深い内容だったが、しかし、半歩離れた視点であっても立川談志というイメージは僕がそれまで持っていたイメージとはそれほど大きくかけ離れたものではなかった。
まあ、それだけ、裏表を隠すことなく生きてきた人だったという部分もあると同時に、伝えられた様々なエピソードが破天荒過ぎて、些細な食い違いなど気にならないという面もある。
で、今回は立川流の内側からの話だ。
立川談志が亡くなったその日からこの本は始まる。
そこから過去に遡ったり談志の死後の経過が描かれたりと、まとまりがなくちらかった印象もあるけれどもそれゆえにか、師匠と弟子という関係の、特に立川談志という人間を師匠としてしまった人間の悲哀が可笑しさも伴って描かれる。
とくに、晩年の立川談志が老いというものに勝てなかった様子、それは単純な肉体的な老化というレベルのものではなく、老化による精神的な変調であり、それに気づいて、そしてそのことを否定するのではなくあるがままに受け止めようとする場面は読んでいて切ない気持ちにさせられる。老いによる変調は、そうでない時の無茶や暴君ぶりとは全く異なることなのだ。

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