週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 59/99

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  1. 『ラスト・ワルツ―Secret story tour』島田虎之介
    一見、なんのつながりのない短編どうしが読んでいくうちに一つのつながりを見せ、予想だにしなかった地点へと物語が着地するという漫画はこれまでにも何作も描かれてきた。最近だと石黒正数の『外天楼』が記憶に新しい。島田虎之介は寡作ながらもそんな物語を何作も描いてきた漫画家で、『ラスト・ワルツ―Secret story tour』は彼のデビュー作。副題に「Secret story tour」とあるように、誰も語ることのなかった、相互に関連性のなさそうに見える物語を掘り起こし、個々のの小さな物語を語ることによってひとつの大きな物語を語ってみせる。そしてこの大きな物語は、作者のフットボール仲間のエンリケ小林くんが祖父から譲り受けたブラジル製幻のバイク、エルドラドにまつわる物語という作者の身近な場所からはじまり、チェルノブイリ事故で被曝した消防士の話、おならのせいでガガーリンに人類初の宇宙飛行士の座を奪われてしまった男の話と続いていく。そしてなによりも、それらがひとつにまとまっていくのを見守ることができることは大いなる幸せなのだ。

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