宇宙英雄ペリー・ローダンという物語がある。ドイツで刊行されているシリーズだ。
1961年から始まって現在も続いているSFとして世界最長の小説であるのだが、それもそのはずで一人の作家によって書かれている物語ではなく、複数の作家が順番に書いているのでこれほど長く続いているわけだが商業出版である以上、売れなければ続けられないので、売れているということでもある。
驚くことに日本でもこのシリーズの翻訳がされていて、本国の出版ペースよりは遅いのだが、それでも複数の翻訳者によって月二冊、実際は2話を一冊にしているので話数にすれば月に4話のペースで出版されている。昔は月一冊というペースだったがその時は1人の翻訳者だったので、これもまた驚くペースだったのだが、それ以上に不思議だったのは、僕の身の回りでこのシリーズを読んでいる人がほとんどいなかったということだ。もちろん僕も、一冊だけ読んだことがあるが、それ以外は読んでいない。つまらないというわけでもない。つまらなかったらそ売れないのでとうの昔に翻訳されなくなっているだろう。
しかし、ネット上をみてもこのシリーズを読んでいるという人は少ない。これだけ売れているのだからもっと存在していてもいいような気もするのだが、かつて1人だけ、このシリーズを読んでいるという人と知り合ったことがあるだけで、それ以外には見当たらない。
もちろん、僕が知り合う人の数というのはたかが知れている。だから僕の主観的な体験などあてにはできないのだが、その一方で、僕はよく書店に行く。2日に一度は書店に寄る。そのペースで書店に寄っていっても、ペリー・ローダンの新刊を手にとって買う人を見かけたことがない。
本当に売れているのかと疑いたくもなるのだが、少なくとも利益は出る程度に売れていることは確かなのだろう。
と、なんでこんなことを書いたのかというと、先日、ペリー・ローダンの新刊を手にとってレジへと向かう人を見かけたからだ。
ああ、本当にこのシリーズを買う人はいるのだ。と安心した。
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