重版出来、あるいは徒手空拳

キュレーションの時代といわれて久しい。
キュレータ、つまり雑多で玉石混交の情報の中から自分にとって有益な情報を与えてくれる存在が重要になってくるといわれ続けている。
確かに、インターネットの中に存在する大量の情報の中から、どれが真実でどれが嘘なのか、あるいはどれが自分に必要な情報なのかを見つけ出すのは面倒であり手間だ。
ドラマ化された『重版出来』の新刊が出た。
今回の話の中で、漫画家の一人が書店に行き、そこで自分の勘を頼りに本を買う場面がある。しかし同じ書店で別のお客はスマホを取り出し、ネット上でその本の評価を調べ、そして評価が高いので買うことにするという場面があった。
そして、その漫画家は、今はそういう買い方がされているのかと落ち込む。
どちらが賢い買い方なのだろうか。
いや、どちらが楽しいのだろうか。
単純に優劣を決めることができるわけではないのだが、インターネットなど無い時代に書店で自分の勘だけを頼りに本を買っていた僕としては、自分の勘を頼りに見知らぬ本と出会うというほうが楽しさを感じる。その一方で、僕自身も気になった本に関して、買う前にネット上でその評判を調べたりもする。
調べてしまうのは、時間がないせいだ。
読みたい本の量に比べて読むことのできる時間は圧倒的に乏しい。なので効率よく本を読むためには情報を収集して取捨選択をしなければいけない。
でも、そんな本の選び方が楽しいかといえば楽しくない。
だからいつか再び、自分の経験と勘だけを頼りに本の山に立ち向かう日を目指したい。

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